なぜ今、ワンダーファイが一般向けゲームなのかに迫ります。出発点は神崎の個人的な好奇心。周期構造の“面白さ”を具体化したら、自然とこの形になった。
そこにワンダーファイの哲学、「大人が知る本物の面白さへ、子どもが触れる“縁”を結ぶ」が重なります。さらに、非言語で伝えるレベル設計、理不尽さを避けつつひらめきの「!」を最大化する難易度調整、デザイナーもUnityに踏み込む開発体制、先行体験で見えた学びの姿など、わくわくが伝わるインタビュー後編。

■神崎 共哉
ワンダーファイ ゲームクリエイター/コンテンツ統括
■鹿取 慧
ワンダーファイ ビジネス ディレクター
■宮地 葉平
ワンダーファイ エンジニア
“面白い”を突き詰めた、自分たちの楽しい!
──子ども向け教材の印象が強いワンダーファイが、あえてターゲットを子どもに絞らないゲームをこのタイミングで作った理由は何でしょうか?
神崎: 大人向けにゲームを作った、というよりは、面白さを具体化していったら大人により合うものができた、という経緯なんです。
私はコンテンツを作るとき、まず「自分が面白い」と思うものに対して「これの面白さの肝はどこだろう」と抽出したり、抽象化したり、具体化したりしながらアイデアを考えていきます。今回は「周期構造」というテーマの面白さが一番伝わる形をどんどん具体化していった結果、出来上がったものが、子ども向けというよりは、もう少し抽象的なものが理解しやすい、大人や小学校中学年以上の人たちに合うものになった、という流れです。
──そもそも、なぜ「周期構造」に着目したのですか?
神崎: 昔からなんとなく「フラクタル」って数学的にも面白いし、見た目的にもすごく綺麗だなと思っていて。野菜のロマネスコとかもそうですよね。何かできないかなと、ぼんやり思っていました。

私はコンテンツ制作をする中で、人一倍オリジナリティみたいなものを大事にしていて、「これ見たことあるな」とか「似たようなの知ってるな」というものは、あまり作りたくないという想いが根底にあります。
より多くの人に受け入れられやすいものって、ある程度似たようなものがあったりするのですが、そういうものよりは、より未知なものに挑戦したい、という気持ちが強いです。
鹿取: 会社の思想と重なる部分もあると思います。代表の川島がよく話しているのですが、「大人が知る素敵な体験や価値ある出会いに、子どもが普段触れにくい機会との「縁」を結んでいく」ということをしたい、と。
神崎さんが着想を得たフラクタル構造のように、自然界にはたくさんの周期構造が溢れていて、それはただ綺麗なだけでなく機能的でもある。そんな面白いものが世の中に隠れているということに、ゲーム体験を通じて気づいてくれたら素敵だよね、という話で開発メンバーは盛り上がっていました。
説明なしで直感的に遊べる。ワンダーファイの強みは健在
──ワンダーファイだからこそというポイントはありますか?
神崎: 非言語である、ということですね。これは存分にワンダーファイの強みが出ていると思います。
ワンダーファイの知育アプリ『シンクシンク』は、世界150カ国でプレイされていて、言語を使った説明はほとんどなく、直感的にプレイできます。
その知見を活かして『サイクリアジャーニー』は、全てが直感的にプレイできるようになっています。スタートが説明書を読むではなく、「これなんだろう」「こうしたらどうなるかな?」とまずは触ってみるドキドキも楽しみの1つになっています。今回は、チュートリアルもないので、よりやってみるドキドキがありますね。
宮地: ゲームのステージそのものがチュートリアルになっているんです。最初は左右に動くだけでゴールできるステージから始まって、次は「このマークに触ってみよう」というように、少しずつ学んでいけるレベルデザインになっています。
──逆に、これまで子ども向けに作ってきた経験があったからこそ、「大人向け」として変えた部分はありますか?
宮地: 見た目の色彩は、今までの年中さんや低学年向けのようなビビッドな色合いではなく、淡い色合いにしたり、変化を穏やかにしたりしています。これまでなら「子どもはもっと大きく表示しないと触るのが難しい」という部分も、対象年齢が上がるからこそ「これは変えていいよね」という判断ができました。これまで子ども向けを作ってきたからこその強みだと思います。
鹿取: あとは、子どもでも遊べるようにしつつも、難易度は結構手応えがあるものにした、というのも今までになかったチャレンジでしたね。
今回は、じっくり頭を悩ませて解けたときの「!」というひらめきの快感、それこそがパズルゲームの醍醐味だと考えました。だからこそ、大人も満足できるような歯ごたえのある難易度を目指したんです。ただ難しいだけでなく、理不尽に感じさせない絶妙なバランス調整には、最後までかなり苦心しました。この手応えこそが、本作の「知的なわくわく」に繋がっていると信じています。
開発の裏側:プロトタイプが動いた感動と、1本で満足させるプレッシャー
──開発中に一番盛り上がったのはどんな時でしたか?
神崎: プロトタイプが出来上がって、まだ資料でしかイメージのなかったものが動き出した瞬間はテンションが上がりましたね。同じマップがバーッと並んで、しかも同じキャラクターが同期して動いているのを見て「おおー!」みたいになりました。
宮地: 僕は開発の後半の方が印象深いです。例えばデザイナーがデザインを作って終わりでなく、実際にUnity(ゲームエンジン)を触って、よりイメージに合う思うようなデザインを試行錯誤していたり、仕様にないものを「こっちの方が良くなる」と急に入れたり。みんなが良くしていくために阿吽の呼吸でこだわりを詰めていった感じがして、そこが良かったですね。
鹿取: みんなで盛り上がることと同時に、この1本で満足させきる、というプレッシャーはそれぞれ感じていたと思います。
ワンダーファイのコンテンツは、複数のコンテンツが集まって1つの教材になることが多いですが、今回は『サイクリアジャーニー』でしっかり満足してもらうためにはどうしたらいいのかをメンバーでたくさん話しました。難易度の設定や、「もっとやりたい!」と思わせるポイントはどこなのか、あらゆる部分の調整に苦労があった分、完成したときの喜びは大きかったですね。

シンクシンクの延長線上にある。考えることが好きな子なら絶対に楽しめる
──これまでシンクシンクやワンダーボックスを楽しんできた子どもたちも楽しめますか?
神崎: もちろんです!感覚的には、『シンクシンク』や『ワンダーボックス』の延長線上にあるものだと思っています。なので、ワンダーファイの教材を存分に楽しんでくれている子たちだったら、きっと楽しんで取り組んでくれるはずです。
宮地: 先ほど話に出ていた、リアルイベントでの選考体験会で見ていても、子どもたちが自分で考えて「これってこうやって…」と指でなぞりながら、頭の中で組み立てながら、試行錯誤している様子や、わくわくしている様子をみることができて、私もうれしくなりました!先に完成形をイメージしてから、それを実行に移しているような姿を見ることができました。
作った僕が「これどうやってクリアするんだろう」って言ったら、子どもに「これはね…」ってめちゃくちゃ教えられました(笑)。
──ありがとうございました。最後に、この記事を読んでいる方へメッセージをお願いします。
神崎: 『サイクリアジャーニー』は、ただゴールを目指すだけのパズルゲームではありません。遊んでいるうちに、世界のあちこちに隠された「繰り返しの法則」の美しさや面白さに、きっと気づくはずです。
これまでたくさんのゲームで遊んできたベテランの方も、親子でじっくり考えたい方も、ぜひこの新しい感覚のパズルに挑戦してみてください。あなたの想像を超える「知的なわくわく」が、そこには待っています。

タイトル:『CYCLIA JOURNEY(サイクリア ジャーニー)』
ジャンル:2Dパズルアクション
対応プラットフォーム:Nintendo Switch / Steam
販売価格:920円(税込)
対応言語:日本語、英語、韓国語、繁体字、簡体字
発売日:2025年11月13日(木)
公式HP:https://cycliajourney.wonderfy.inc/jp
公式X:@CycliaJourney
権利表記:
© Wonderfy Inc.
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