子どもたちの「考えるって、楽しい!」を引き出す知育アプリ『シンクシンク』や、「遊び感覚」で学べるSTEAM通信教材『ワンダーボックス』。
そんなワンダーファイが提供する“知的なわくわく”を支えているのは、日々子どもたちの反応を観察し、ひとつひとつの問題を緻密に設計するコンテンツクリエイターたちの存在です。
今回は、『シンクシンク』の初期からコンテンツ制作に携わる秋葉翔太さんに、「子どもが夢中になる体験づくり」をテーマに話を聞きました。

秋葉翔太(あきば・しょうた)|コンテンツクリエイター
東京大学大学院工学系研究科修了後、IT系の特許関連会社で特許の明細書の作成に従事。
学生時代から『シンクシンク』の問題制作にアルバイトとして関わり、2019年にワンダーファイに入社。現在はコンテンツクリエイターとして、ワンダーファイのサービスの根幹となる問題の企画・設計を担当している。
パズル制作をライフワークとし、MENSAや発明学会に参加した経験を持つ。算数オリンピックへの問題提供を毎年行っている。
コンテンツクリエイターという仕事
現在は、『シンクシンク』『ワンダーボックス』にとどまらず、2025年7月に世界同時リリースされた『ポケモンフレンズ』や、その他さまざまな新規コンテンツの開発にも携わっている秋葉さん。
その仕事は、単に「問題を考える」ことではありません。むしろ、子どもがどんなふうに考え、どんな瞬間に心が動くのかを想像しながら、体験そのものを設計する仕事です。
秋葉:『シンクシンク』では、各問題の正答率などのデータを分析し、レベルが合っていない問題を調整したり、全体の構成を見直したりします。
「この問題の面白さはどこにあるのか」「難しさを決めているのは何か」を見抜いて、面白さを損なわずに手を入れる。分析力と修正力の両方が求められる仕事です。

たとえば、正答率が50%の問題があったとしても、それが「ちょうどよく歯ごたえがある問題」なのか、「理不尽に難しい問題」なのかは、数字だけでは判断できません。
子どもが“あと少しでできそう!”と感じているかどうか。その「もう一歩」の手応えこそが、夢中を生む面白さの源であり、その絶妙な境界線を探り続けるのが、クリエイターとしての腕の見せどころだと秋葉さんはいいます。
秋葉:難しい問題を作る人は世の中にたくさんいるけれど、“子どもにとって面白い問題”を作れる人はそんなに多くないんじゃないかと思います。だからこそ、そこに自分の専門性を感じます。制約が多い中で、いかにシンプルで深く思考を楽しむ仕組みをつくれるか。その探求が本当に楽しいです。

「3分で夢中になる」体験を設計する
『シンクシンク』の1つのコンテンツ(問題)は、ほとんどが3分で遊べるように設計されています。
これは、子どもの集中力が自然に続く時間をもとに導き出された長さです。短い時間でも“ちょうどいい思考負荷”で取り組めるからこそ、子どもは無理なく「考えることそのものを楽しむ」ことができます。
秋葉: 「できた!」という達成感と、「面白い!」という知的な興奮。この2つをどう両立させるかがポイントです。
簡単すぎるとすぐ飽きてしまうし、難しすぎるとやる気をなくしてしまう。だからこそ、“できた!” という気持ちよさを積み重ねながら、少しずつ“やりごたえ”を感じられるようにしています。
易しい問題ほど、つくるのは難しい
秋葉さんが特に難しいと語るのは、「初級レベルの問題」づくりです。子どもたちが最初に触れる問題だからこそ、細やかな工夫が欠かせません。
秋葉:難問を作るのは慣れているんですが、逆に“どこで子どもがつまずくか”を想像するのがとても難しい。つまり、“解けない能力”が必要なんです(笑)。子どもの視点で、どこが引っかかるのかを見抜くセンスが問われます。
この“つまずき”を想像する力こそ、子ども向けコンテンツをつくる上でのセンスだと秋葉さんはいいます。
ワンダーファイでは、特別授業やモニターテストを通して、実際の子どもたちの反応を観察しながら、問題を改良していく仕組みがあります。秋葉さんも、そうした現場での観察から多くの気づきを得ているといいます。
秋葉:子どもたちが取り組む様子を見て、思ってもいなかったところで引っかかることがあります。そういうときは、自分の想像力の未熟さを突きつけられますし、同時にすごく面白い学びになります。


子どもたちのフィードバックから生まれた改善例
秋葉:『もぐもぐひつじ』というコンテンツが印象的でした。羊の群れを動かすパズルなんですが、想定より多くの子が引っかかってしまったんです。
群れの動きに慣れていない子が多く、“これは簡単だろう”と思っていた問題でも、意外と時間がかかってしまって。観察を重ねるうちに、子どもたちの“つまずき方”にもいろんなパターンがあることが見えてきました。
たとえば、大きい羊だけが操作できるんですが、小さい羊を一生懸命動かそうとしていたり。両側の羊を動かしてクリアできる問題で、片方しか動かさなかったり。あとは、目標のエリアと同じ形をつくるところで、なかなか形が合わずに苦戦してしまう子もいました。
秋葉:大人にとっては自然だと思う動きも、子どもにとっては初めて触れる体験なんですよね。そういう部分を丁寧に設計しないと、“考える楽しさ”にたどり着けないんだと思います。
その結果、最終的には“どんな順序で理解が深まっていくか”を意識して、初期は9段階だったレベル構成を、今では26段階にまで細かく分けました。
最初の数問で “こう動くのか”と感覚的に分かってもらって、そこから“どう動かしたら形をつくれるか”へとつないでいく。やっていることは地味なんですが、その積み重ねが体験の質を変えていくと思っています。

子どもの“思わぬつまずき”を見逃さず、そこから構造的に考え直す。
その観察と改善の積み重ねこそ、ワンダーファイが届けたい “知的なわくわく” を支えています。
クリエイターの探求心が、新たな発想を生む
秋葉さんは、AI技術を活用して自作のパズルをSNS上で公開するなど、新しい表現にも積極的に挑戦しています。
単語リストの中から1つの単語を選び、その文字数分だけ盤面のマスを縦横になぞって配置します。縦横のマス数は単語の文字数とは限らないので、通常のクロスワードとは一味違った解き味のあるパズルゲームです。正しく置けるとリストにチェックが入り、すべての単語にチェックをつけるとクリアになります。

また、最近は自身が父親になったことで、教材を見る視点にも変化があったといいます。
秋葉:親の立場になると、知育玩具や教材を自分の子に与えるときの気持ちが少し分かる気がします。だからこそ、「質の高いものを作りたい」という気持ちが強くなりました。
ワンダーファイはこれからも、子どもが「夢中になる」瞬間にこそ未来を切り拓く力の芽があると信じ、単なるコンテンツ制作ではなく、子どもの思考を理解し、“知的なわくわく”を生み出すものづくりに挑戦していきます。

