『シンクシンクカップ in カンボジア』イベントレポート
2026年1月、活気あふれるプノンペンの中心地。家族連れでにぎわう「イオンモール ミエンチェイ」の一角は、外の喧騒をかき消すような歓声と、心地よい緊張感に包まれていました。

カンボジア教育・青年・スポーツ省(MoEYS)、JICA、そしてワンダーファイが共催する「シンクシンクカップ in カンボジア」。今年で5回目を数えるこの大会には、約1,000人の子どもたちが集まりました。保護者や関係者を合わせると3,000人規模にのぼり、国境を越えた教育の熱流を象徴する場となっています。
官民一体で育む、カンボジアの未来
本大会がカンボジアにおいて「最大のエドテックイベント」と称される理由は、その規模だけではありません。授賞式の壇上には、カンボジア政府の要人をはじめ、弊社代表の川島を含む、日柬両国の発展を支える各界のリーダーが顔を揃えました。
【主な登壇・出席者】
- H.E Oung Borat 氏(教育・青年・スポーツ省 国務長官)
- H.E Ung Chinna 氏(教育・青年・スポーツ省 教育総局長)
- 讃井 一将 氏(JICAカンボジア事務所 所長)
- 小嶋 麻友 氏(在カンボジア日本国大使館 二等書記官)
- 川島 慶(ワンダーファイ代表 / シンクシンク開発者)


期待と不安が、心地よい高揚感に変わる瞬間
「Are You Ready?」
運営メンバーの問いかけに、思いっきりの「Yeah〜!」で応える子どもたち。テレビ取材のカメラが回る中、年に一度の「思考の祭典」が幕を開けました。


日本とはまた異なる雰囲気のなか、カンボジアの会場は、音楽と歓声が途切れない賑やかな空間でした。しかし、いざ問題が始まれば、騒がしさの中でも子どもたちはタブレットの画面に深く没頭していました。



「見たことがない問題」を面白がる、ということ
今回の大会では、出題内容がその場で決まる「ランダム方式」が採用されました。次にどんな問題が出るのかは、誰にもわかりません。司会の掛け声とともに、正面の大きなスクリーンでスピンが回り始めます。
スピンの動きを見つめる子どもたちの表情には、期待と不安が入り混じっていました。そして問題が決まった瞬間、会場には大きな歓声が響き渡ります。ガッツポーズをして喜ぶ子もいれば、苦手な問題に思わず頭を抱える子もいました。
アドバンスト部門で3位に入賞したヴェンチャイくんは、競技を終えたあと、少し高揚した様子でこう振り返ります。「今年は前回に比べて難しかった。自分がやったことがなかった問題が2つ出てびっくりしたけれど、それが楽しかった!」

順位の結果よりも先に、未知の問いに出会った驚きや、挑戦した過程そのものを「楽しかった」と語る。そこには、知識の量を競うのではなく、思考そのものを楽しむという、私たちが大切にしたい“知的なわくわく”がありました。
大会の舞台裏で出会った、ひとりの少年
ヴェンチャイくんは、ワンダーファイがカンボジアで運営している教室「Think!Think! Learning Lab」に、2年前から通ってきました。今回の大会は、そんな彼にとって一つの節目でもあります。
現地スタッフによると、入会当初の彼は、人前で発表することもできない、内気で静かな少年だったといいます。それでも少しずつ、自分の力で問題を解く手応えを重ね、やがて自宅から自らトゥクトゥクを呼び、ひとりで教室へ通うようになりました。


2026年、夏。舞台は日本へ
「難しかった。でも、それが最高に楽しかった」という感覚は、一度身につければ一生消えない学びの武器になります。
未知の状況を面白がり、自分の頭で答えを導き出そうとする力。カンボジアで出会った子どもたちの姿は、私たちが大切にしてきたことを、あらためて確かめさせてくれました。



今大会の優秀者たちは、2026年の夏、日本で開催される「シンクシンクカップ」へ招待されます。
カンボジアで最大となったこの取り組みは、舞台を東京へと移します。異なる文化の中で育った子どもたちが、同じ問題に向き合い、思考を交錯させる。そんな、最高に熱い夏が今年もやってきます。
現地メディアでの掲載
本大会の当日は、テレビ取材を含むカンボジアの現地メディアも会場を訪れ、大会の様子が紹介されました。会場で問題に向き合う子どもたちの姿や、STEM教育を体験として届ける取り組みが、現地の文脈の中で伝えられています。
※以下は、実際に掲載された現地メディアの記事の一例です。

編集後記
今回、日本からの広報チームとして、初めて「シンクシンクカップ in カンボジア」に参加しました。
日本で生まれたサービスである『シンクシンク』が、言語や文化、国境を越えて、カンボジアの子どもたちにも親しまれていること。そして、『シンクシンク』を通して「考えること」を楽しんでいる子どもたちが、見ず知らずのまま同じ場所に集い、同じ「知的なわくわく」を共有している光景そのものが、とても印象的でした。
結果や順位以上に、そうした空気の中で過ごした時間こそが、日本でもカンボジアでも、強く心に残る体験になるのではないかと、あらためて感じています。
