2026年3月、インディーゲームの祭典「TOKYO INDIE GAMES SUMMIT 2026」にて、ワンダーファイが開発した『CYCLIA JOURNEY(サイクリア ジャーニー)』が「TIGS AWARD 2026 大賞」を受賞しました。
選評に添えられたのは「これぞ『いま』ユーザーに知ってほしいタイトル」という温かな言葉。けれど、この作品が完成するまでの道のりは、確かな答えが見つからない中で、ひとつずつ手探りで進むような日々でした。 普段、子どもたちの思考力に向き合っているメンバーが、なぜ未知の領域であるゲーム制作に一歩踏み出したのか。制作を共にした3人に、その歩みを振り返ってもらいました。
詳細プレスリリース:元特許庁・東大院卒の異色クリエイターが、未経験でインディーゲーム界の頂点へ。2Dパズル『CYCLIA JOURNEY』がTIGS 2026 大賞受賞
話を聞いた3人

「数学の定理」を見つけたかのような美しいパズル
—— 『CYCLIA JOURNEY』とは、どんなゲームですか?
神崎: 構造を繰り返すというギミックによって、美しさと奥深さが見事に融合されたパズルゲームです。
森: 周期を見つけ、空間を写し取り、それを繋げることで道を切り拓いていく。気づいた瞬間、世界の見え方が一気に変わり、迷いなく進める気持ちよさがありますね。
秋葉: ルールはシンプルですけれど、世界の見え方が一気に変わる感覚が面白いですよね。「あんな所に鍵が!どうしたらいいんだろう」→「うーん、こうしてみたらどうなるかな」→「お!もしかして……」→「できた!気持ち良い!」という体験が1問ごとにあって、脳に良い刺激を与えてくれるパズルになっています。
神崎:シンプルなルールでありながら奥深く面白い。今までにあってもおかしくなかったゲームだと思います。考え出したというよりも、“発見した”という感覚に近いかもしれませんね。例えるなら、いつか誰かが発見したであろう数学の定理や物理の法則を見つけたような……そんな感覚を持っています。
未知の領域、手探りのスタート
—— 「初めてのゲーム制作」での不安や葛藤はありましたか?
神崎: 正直なところ、知識もノウハウもほとんどない状態からのスタートでした。頼れるのは、「自分が面白いと思えるかどうか」という、曖昧で根拠のないセンスだけ。自分自身ゲームをたくさんプレイしているわけでもないし、『STEAM』(※PCゲームの配信プラットフォーム)という場所で遊んだ経験もなかった。そのため、どういう人向けに作ればいいのか、プレイしてくれる人のペルソナが全く想像できなかったことは、大きな不安でしたね。
秋葉: 私も、今までの感覚だけでは通用しない難しい挑戦だなと感じていました。『シンクシンク』に登場する新しいコンテンツを作ることには慣れていましたが、その枠組みから飛び出した「ゲーム」となると、人によって案の良し悪しの評価軸が異なるんです。普段ならチーム内で確立されている共通認識が、今回は一から。他の皆が「良いね!」と思うものは何なのかを探りながらのアイデア出しでした。
森: 私もゲームに強いバックグラウンドがあるわけではなかったので、そもそも成立するのかという不安は常にありました。国内外のさまざまなインディーゲームに触れながら考え続けてはいましたが、この作品がその中でどの位置にあるのか、最後まで判断しきれない感覚がありましたね。どう受け入れられるのか、リリースするまでずっと未知の領域でした。
面白さと美しさ、一歩も引けない両立
—— 制作中、特にこだわった点や苦労したエピソードは?
神崎: 一番大変だったのは「取捨選択」かもしれません。本作にかけられるリソースが限定的だったので、仕様については必ずどこかで折り合いをつけないといけない。でも、絞りすぎても味気ないし、広げすぎると工数がかさむ。どの仕様を採用して、何を捨てるか。頭で想像しきって決めるしかない作業でしたが、まだまだやりたいことがあったなかでの決断は、けっこう大変でした。
秋葉: 私はその絞られたルールの中で、1問1問に趣向を凝らし、新しい発見があるように作っていきました。基本的なルールはずっと同じでも、解くたびに「次はどんな問題だろう?」とわくわくしてほしかったんです。あとは、神崎さんからたびたび念押しされていた「面白さと美しさの両立」ですね。
神崎: そう、「コピーした時の構造の美しさも大事にしたい」とは何度も言いましたね。
秋葉: はい(笑)。各ステージの面白さを損なわないようにしつつ、美しさを感じられる構造にするために腐心しました。なかなか難しいことでしたが、なんとか両立したものができたのではないかと思います。
森: デザイナーとしては、その「繰り返しの法則」をいかに幾何学的に美しく「世界観」として見せるかという観点で、没入感の演出や、キャラクターの動きなど細部まで模索しました。あとはワンダーファイという企業が出すことの意義として、子どもから大人まで楽しめる体験であることも追求しました。


揺らぎかけた自信を支えた、大賞受賞
—— 大賞受賞の報を聞いた時の、率直な心境は?
神崎: 純粋に嬉しいという気持ちに加えて、ホッと安心する気持ちもありました。実はリリースしてから4か月、なかなか広げることに苦労していて、“おもしろさ“に対する自分の感覚への信頼が揺らいできていたところだったんです。そんな時にこの賞が決まったので、「自分の感覚は間違っていなかったのかな」と、ようやく安心できました。
秋葉: 権威のある方に評価していただけたことは非常に喜ばしいことですし、この受賞によって認知が広まって遊んでくださる人が増えるかもしれないという期待で胸が膨らみました。たくさんの人にこの体験をしてほしいですから、注目される機会をいただけたのは本当にありがたいことです。
森: 私も、本当に伝わってよかったというホッとした感じが大きかったです。会場のお客様から「アートワークがきれい、色味がいい」「キャラクターがかわいい」と直接コメントをいただけたことも、大きな支えになりました。やってきた方向性が間違っていなかったと感じられましたし、ここからより多くの方に体験していただけるきっかけになるといいなと思っています。

日常の中にある、規則性やリズムに気づく体験を
—— これから遊ぶ方へ、一言メッセージを!
神崎: チャプターが変わって新しいギミックが登場する瞬間は、「今度はそうきたか!」というあっと驚く体験が待っています。ぜひプレイ前のネタバレに注意して、驚きの体験を存分に味わってもらえればと思います。
秋葉: 丁寧にレベル設計をしたので、ゲームに慣れていない方でも楽しんでいただけます! パズルが好きな方には、ぜひ追加問題もプレイしてほしいですね。趣向を凝らしたさまざまな問題が皆さんを待っています。
森: 最初は少し戸惑う場面もあるかもしれません。でも、閃いた瞬間から一気に世界が広がる気持ち良さを感じていただければと思います。周期構造(※同じ形が規則的に繰り返される幾何学的な模様のこと)は身の回りにも多く存在しています。プレイを通して、日常の中にあるリズムや規則性にも自然と気づけるような、そんな体験につながれば幸いです。
『CYCLIA JOURNEY(サイクリア ジャーニー)』について

本作は、「繰り返し」の法則が支配する幾何学的な世界を舞台にした、ミニマルかつ奥深い2Dパズルアクションゲームです。 累計350万ダウンロードを記録する思考力育成アプリ『シンクシンク』で培った、ユーザーに「良質な試行錯誤」を促す設計思想が、ゲーム体験の根幹に流れています。余計な情報を削ぎ落としたビジュアルにより、プレイヤーを「思考の純粋な楽しさ」へと没入させます。
Steamストアページ:https://store.steampowered.com/app/3949920/CYCLIA_JOURNEY
詳細な受賞背景(プレスリリース):元特許庁・東大院卒の異色クリエイターが、未経験でインディーゲーム界の頂点へ。2Dパズル『CYCLIA JOURNEY』がTIGS 2026 大賞受賞
