公教育、学習教室、イベント交流、学校設立。カンボジアで広がる取り組みと、その中心にいる人をご紹介します。

ワンダーファイって、実はカンボジアにもとてもゆかりがあることをご存じですか?
世界中の子どもたちが思考力を競う『シンクシンクカップ』では、カンボジア大会の入賞者が日本へ。2026年7月に開催した『ワンダーミーツ2026』にも、カンボジア代表の子どもたちが来日しました。『どうしてカンボジア?』と、気になっていた方もいるかもしれません。
ワンダーファイとカンボジアとの関わりは、2017年に始まりました。公立学校での実証実験から、学習教室、シンクシンクカップ、幼稚園の運営、そしてこれからの学校設立へ。『考えることを楽しむ』体験を子どもたちへ届けたいという思いのもと、複数の活動が並行して広がっています。
この記事では、ワンダーファイのカンボジアでの歩みを振り返りながら、現地で取り組みを広げてきたキーパーソン、ワンダーファイカンボジア株式会社 代表取締役社長・渡邉大貴をご紹介します。
ワンダーファイとカンボジアの歩み
2017年に始まったカンボジアでの取り組みは、公教育支援、学習教室、シンクシンクカップ、学校設立などへと広がってきました。それぞれが同時に続きながら、子どもたちの学びを支えています。

始まりは、公教育の現場から
カンボジアでは、ポル・ポト政権時代に大きな打撃を受けた教育環境の整備や学力向上が、長く重要な課題となってきました。そうしたなか、カンボジア政府は、直感的に楽しめる『シンクシンク』が思考力を育み、教育課題の解決を幼少期から支えうる点に期待。2017年、ワンダーファイはJICAの支援を受け、カンボジアの公教育に思考力教育を導入する取り組みを始めました。
2018年と2022年には、JICAおよび慶應義塾大学・中室牧子研究室と協力し、公立学校で実証実験を実施。2022年の実験では、9校・約3,300人の小学4〜6年生が約10カ月にわたり『シンクシンク』を利用し、認知能力に加え、内発的動機づけや自尊心などの非認知能力にも統計的に有意な効果が確認されました。
シンクシンクの教育効果に関する実証研究(RCTによる認知能力・非認知能力への効果)|ワンダーファイ公式エビデンス
休校中の子どもたちへ、学びを届ける
2020年、新型コロナウイルスの流行により、カンボジアの学校も休校になりました。そこでワンダーファイは、学びを止めないための支援として、教育省と連携し、『スクール版シンクシンク』を週3回・約2カ月間、無料で開放。
現地インストラクターによるオンライン授業を、教育省のSNSやYouTube、カンボジア国営放送で配信しました。オンライン授業は、毎回数万人が視聴するまでに広がりました。このとき、カンボジア政府、教育省、JICAなど多くの関係者が力を合わせたことが、その後の連携をさらに深める契機にもなりました。

その後、先生や仲間と一緒に学べる学習塾『シンクシンク ラーニングラボ』を開設。2023年には、プノンペンの公立学校内に学習拠点『Japan Digital Learning Center(JDLC)』も開設しました。
学びが、国を越えた出会いに
近年は、『シンクシンクカップ カンボジア大会』を毎年開催。入賞した子どもたちは、翌年、日本で開かれるシンクシンクカップへ招待されています。

2025年には、日本とカンボジアの子どもたちが、両国の知識を持ち寄るクイズや2人1組のAR問題に協力して挑戦する交流会も開催。2026年には、前年に出会った子ども同士が再会し、保護者同士にも交流が生まれました。
2024年には、カンボジアに新設された日本式幼稚園の経営に参画し、ワンダーファイ代表の川島慶が理事に就任。学ぶ場所や年齢を越えて、子どもたちの好奇心を育む取り組みが続いています。

現地で取り組みを動かす、渡邉大貴
こうした活動をカンボジアの現場で動かし、学校、先生、家庭、そして日本のワンダーファイをつないできたのが、渡邉大貴です。渡邉とはいったい何者なのか。なぜカンボジアへ渡ったのか。『シンクシンク』は、なぜ現地でこれほど広がったのか。本人に詳しく聞きました!

渡邉大貴(わたなべ・だいき)
ワンダーファイカンボジア株式会社 代表取締役社長
日本プノンペン国際幼稚園株式会社(『プノンペン日本インターナショナル幼稚園』運営会社)代表取締役社長
1988年生まれ。教員一家に育ち、幼少期から教育を身近に感じて過ごす。20代半ばでカンボジアへ移住し、キリロム国立公園における大学・リゾート開発などに携わる。2016年、花まるグループが同地で実施した子ども向けサマースクールに関わったことをきっかけに、再び教育の道へ。2017年にワンダーファイのカンボジア法人立ち上げに参画し、現在は公教育支援、学習教室、野外体験、幼稚園運営など、さまざまな形でカンボジアの教育事業に携わっている。
——カンボジア在住11年とのことですが、そもそも、なぜカンボジアへ渡ったのですか?
渡邉:カンボジアに来たのは、本当にたまたまなんです。
大学時代、重いアトピー症状に悩んでいました。住む環境を変えると症状がやわらぐという話を聞いて、思い切って暖かい土地へ行ってみたところ、本当にみるみる改善していったんです。それで、自分の肌に合う場所を探してアジア各地を巡り、候補の一つだったカンボジアにたどり着きました。
——ワンダーファイとの出会いについて教えてください。
渡邉:僕がキリロム国立公園で大学やリゾートの開発に携わっていた2016年、花まるグループが現地で実施した子ども向けサマースクールに関わったのがきっかけです。
ワンダーファイは、花まる学習会を設立母体に持つ会社です。そのサマースクールで現在の代表・川島慶と出会い、プライベートでも一緒にカンボジアの子どもたちへ教えに行くようになりました。子どもたちが目を輝かせる姿を見て、『教育に携わりたい』と魂が震えたんです。
2017年、ワンダーファイがJICAの支援を受けてカンボジアで取り組みを始めるタイミングで、現地法人を立ち上げました。当初は僕自身も、教育アプリを現地に広め、有料プランで事業として成り立たせようと、一人で走り回っていました。

——アプリを届けるところから、学習教室を設立したり、公立小学校のなかの学習拠点を作るなど、どんどん取り組みが広がっていきましたよね。
渡邉:そうなんです。教室で子どもたちは、本当に楽しそうに取り組んでくれます。
授業が始まる前から待っていたり、問題が解けると隣の子と顔を見合わせて喜んだり。言葉が違っても、『わかった!』『もう一問やりたい!』という表情は同じなんですよね。
その姿を見るたびに、考えることそのものを楽しむ体験は、国を越えて届くのだと感じます。
カンボジアでは、ポル・ポト政権時代に大きな打撃を受けた教育環境の整備や学力向上が、いまも長く課題となっています。だからこそ『シンクシンク』を公教育に導入できないかと考え、その効果を検証するための実証実験にも取り組むようになったんです。
このように、カンボジアで受け入れられた背景には、政府や保護者からの信頼があります。
——2024年には、カンボジアにワンダーファイが運営に参画する幼稚園も開園しました。どのような経緯でつくられたのでしょうか?
渡邉:きっかけの一つは、学習教室の子どもたちを対象にした1泊2日の野外体験でした。
参加した子どもたちのなかには、5歳になっても粉ミルクをやめられないなど、生活面で自立できていない子もいました。それが体験中には、自分でご飯を食べ、身の回りのこともできるようになった。その変化を見た保護者が涙を流して喜び、やがて『子どもが自立できる幼稚園や学校をつくってほしい』という声が寄せられるようになったんです。
ただ、私自身もワンダーファイも、幼稚園や保育園を運営した経験はありません。そんななかで出会ったのが、日本で約40か所の保育園を運営するマミーズファミリー代表の増田かおりさんでした。増田さんには、ワンダーファイ代表の川島とともに理事として参画いただき、幼児教育・保育の専門的な知見を取り入れながら、園の立ち上げや運営の仕組みづくりを進めてきました。

カンボジアでは、質の高い日本式教育への信頼も厚く、自分で食事をしたり、身の回りを整えたり、みんなで掃除をしたりといった日々の生活も、子どもの自立を育てる教育として保護者から期待されています。
国としても幼児教育に力を入れていて、開園式にはカンボジア政府の副首相兼教育大臣、ハン・チュオンナロン氏も出席してくださいました。日本のやり方をそのまま持ち込むのではなく、カンボジアの文化や家庭の考え方を大切にしながら、先生や保護者と一緒につくっています。
——最後に、カンボジアで教育事業を続けるうえで大切にしていることと、これから実現したいことを教えてください。
渡邉:『日本の良いものを届ける』だけで終わらせないことです。
学校の先生、スタッフ、保護者、子どもたちと話しながら、カンボジアで本当に必要とされ、続いていく形へ変えていく。僕の役割は、日本とカンボジアのあいだに立って、互いの良さが生きる形を一緒につくることだと思っています。カンボジアの子どもたちが、自分の可能性にわくわくできる場所を、もっと増やしていきたいです。
学び方も、進む道も、一つではありません。『自分で考えて選べる』と思える経験を、先生や家庭、地域のみなさんと一緒につくっていきたいです。
2017年に始まった、ワンダーファイとカンボジアの取り組み。カンボジアの公立学校での実証実験、学習教室、シンクシンクカップ、幼稚園の運営、そしてこれからの学校設立へ。複数の活動が重なりながら広がってきました。
その歩みは、完成した教育を一方的に持ち込むものではありません。子どもたちの表情を見て、先生や家庭の声を聞き、現地で続く形を一緒につくっていく。渡邉の話から見えてきたのは、そんな試行錯誤の積み重ねでした。
シンクシンクカップで生まれた国を越えた友情のように、学びは、ときに思いがけない出会いへつながります。これからもワンダーファイは、カンボジアの仲間たちとともに、子どもたちの『考えるって楽しい!』が広がる場を育てていきます。
■ 思考力が育つ知育アプリ『シンクシンク』について

『シンクシンク』は、ワンダーファイが掲げるミッション「世界中のこどもが本来持っている知的なわくわくを引き出す」に基づき作られた知育アプリです。考える力の土台となる5つの分野(空間認識・平面認識・試行錯誤・論理・数的処理)を、網羅的に楽しみながら学べるアプリとして、2016年より各アプリストアで配信を開始し、2025年12月で累計ユーザー数が350万人を突破しました。
Googleによるアプリアワード受賞、キッズデザイン賞受賞など国内外で高い評価を受けており、言語の壁を超え、世界150カ国の子どもたちに愛されています。
https://think.wonderfy.inc
■ 遊びながら学ぶSTEAM通信教材「ワンダーボックス」について

2020年4月にスタートしたワンダーボックスは、デジタルとアナログの組み合わせにより、家庭で子どもの「思考力・創造力・意欲」を引き出すSTEAM領域の通信教育サービスです(対象年齢:4〜10歳)。キッズデザイン賞・グッドデザイン賞・ペアレンティングアワードなど、数多くのアワードを受賞しています。
https://box.wonderfy.inc





